油圧ストラットとガスストラットの違いを理解する
油圧ストラットとガスストラットはどちらも、様々な用途で支持と減衰を提供するために使用されるサスペンション部品です。目的は似ていますが、両者には顕著な違いがあります。油圧ストラットとガスストラットの相違点を見ていきましょう。
1. 動作原理:
- 油圧ストラット:油圧ストラットは、作動油(オイル)を用いて減衰と支持を提供します。オイルで満たされたシリンダー、ピストンロッド、そしてオイルの流れを制御するバルブで構成されています。外力を受けると、油圧ストラットは圧縮または伸長し、作動油がバルブを通って流れることで抵抗が生じ、エネルギーを吸収します。
- ガスストラット:一方、ガスストラットは圧縮ガス(通常は窒素)と作動油を利用します。ガスとオイルの混合物が充填されたシリンダー、ピストンロッド、そしてバルブで構成されています。外力を受けると、ガスストラットは圧縮または伸長し、ガスとオイルがバルブを通って流れ、減衰と支持を提供します。

2. 減衰特性:
- 油圧ストラット:油圧ストラットは、作動油の粘度の違いにより、幅広い減衰特性を提供します。用途に応じて、強い減衰と弱い減衰の両方を実現できます。油圧油を調整することで、必要な減衰特性を実現できます。
- ガスストラット:ガスストラットは、一般的に、より均一で制御された減衰効果を提供します。圧縮ガスがクッション効果を発揮し、よりスムーズで予測可能な動作を実現します。ガスストラットの減衰特性は通常固定されており、簡単に調整することはできません。
3. パフォーマンスとレスポンス:
- 油圧ストラット:油圧ストラットは、高荷重に対応し、優れた衝撃吸収性を発揮することで知られています。高い性能と応答性を備えており、動的な力に対する正確な制御と対応が求められる用途に最適です。
- ガスストラット:ガスストラットは、制御された予測可能な動作が求められる用途でよく使用されます。より均一な減衰応答を提供し、振動や揺れを効果的に低減します。ガスストラットは、快適性とスムーズな動作が不可欠な用途で広く使用されています。

4. メンテナンスと寿命:
- 油圧ストラット:油圧ストラットは、最適な性能を維持するために、オイルの点検と交換を含む定期的なメンテナンスが必要です。シールとバルブは経年劣化するため、定期的な交換が必要です。油圧ストラットの適切なメンテナンスを怠ると、性能低下や漏れの原因となる可能性があります。
- ガスストラット:ガスストラットは一般的に油圧ストラットに比べてメンテナンスの必要性が低く、可動部品が少ないため摩耗の可能性が低くなります。しかし、ガスストラットの寿命と性能を維持するためには、損傷や漏れの兆候がないか定期的に点検することが重要です。
5. アプリケーション:
- 油圧ストラット:油圧ストラットは、高い負荷容量と正確な制御が求められる車両サスペンション、建設機械、産業機器などの高負荷用途で一般的に使用されます。

- ガスストラット:ガスストラットは、自動車(ボンネット、トランク、テールゲート)、家具(リクライニングチェア、オフィスチェア)、航空宇宙(シート、貨物ドア)、医療機器(病院用ベッド、手術台)など、様々な業界で使用されています。制御された動作、振動減衰、そして使いやすさが求められる用途に最適です。
まとめると、油圧ストラットとガスストラットは、動作原理、減衰特性、性能、メンテナンス要件、そして用途が異なります。油圧ストラットは減衰調整が可能で高い耐荷重性を備えていますが、ガスストラットは安定した減衰特性、よりスムーズな動作、そしてメンテナンスの必要性の低減を実現します。油圧ストラットとガスストラットのどちらを選択するかは、対象となる用途の具体的な要件によって異なります。
